4/14 金曜日 6:30 駅

今日は今週最後の登校日です。暦の上では春ですが、少し肌寒い気がして、ポケットに手を突っ込みます。氷室くんもそうしています。
「寒いですね、今日」
氷室くんがポケットに入ってましたと言って飴をくれました。そのままそれをいただきながら、ふたりで県くんと石田くんを待ちます。
「氷室くんのさ」
「んー」
「画塾ってどんなの?絵描くの?」「そそ。絵なり立体なりの修行にみんな来てます」
「ふーん」
「美大受験のために必要な技術を教わるって感じだな」
「予備校ってこと?」
「あ、まさにそう。僕が勝手に画塾って言ってますけど、美術予備校って言うべきかも」
「じゃあお受験の塾行ってるってことなんだ」
「そうなるね」
そこで2人が来ました
「座学のクラスもあるよ。浪人生が受けてるみたいです。美大受けるつっても……大抵入試の共通テストはみんなと同じの受けなきゃいけないので」「この前のお昼休みも課題?してるって言ってなかったっけ。すごいね」「まあ、普通に絵描くの好きなので」

1数学Ⅱ/2化学Ⅰ/3世界史/4体育/休

0:00 三時間目 体育  

着替え中の話ぶりなどを見るに、県くんは体育が好きでないようですが、バトミントンの間は気が楽とのことでした。

バドなら多少は… マシなだけだけど「あ 先生……」「なんで化粧品なんか持っとるんだ。いらんだろう」「えええ!嘘ぉ」「1週間預かるから。来週の金曜体育教官室に来い」「それ日焼け止めです!」「だから化粧品だろう」おげげぇ、めんどくせ〜し納得いかん。こっちも肌荒れ覚悟で肌守ってんだぞ……」「困ったなぁ。遠足に間に合わないね」「ほんとだ。遠足18日だもんな、うわー……うわぁ……日焼け止め高いんよな……ここで小遣い使いたくない……」「タイミング悪いね」「しゃーない。妹か親に借りてくわぁ」「家に予備あるよ。一緒に使お」「いいよぉ。どうせ毎日いるし、一旦家のに借りる。ありがと」「そう?」「あーあー。ますます体育やる気無くしたぁ!」

0:00 昼休み

「今日食堂行こうよ。石田くんも誘って」「うん。浩二携帯見てるんかな」「あ、行くって。そのまま行こ。混んじゃう」「うん」

食堂

1年生の頃も時折食堂を利用していました。食堂はグラウンドに近い中庭の隣にあるので、体育の後などは動線がいいのです。石田くんが食堂入り口に立って携帯を見ています。県くんがそのまま彼に駆け寄って行きます。「浩二!聞いてよぉ」
県くんが石田くんに駆け寄り、石田くんもうん、と言って受け入れます。
「体育教師に日焼け止め没収された!」「……ん?どゆこと?」

食堂内

石田くんは焼肉定食を食べていて、県くんはホットドッグを食べています。「日焼け止めさ〜……金曜に教官室に取りに来いだって。遠足に間に合わないし……」
「災難でしたね」
ほんとだよ……と言いながら、県くんはホットドックをとてもちまちましたペースで食べています。
「石田くんって体育の先生誰?」
「若い先生ですよ。新任だって」
「女の先生?」
「そう」
「いいなー。ゴリゴリじいちゃんみたいな先生見たことない?」
「なにそれ」
「見たらわかるよ」
「そいつ要注意だから」「ゴリゴリじいちゃん」
「多分全校集会とかの後の制服着崩しチェックで見るよ」
「そんなんあるんだ。中学と変わんないな」

/5数学B/6日本史

私や県くんには関係がありませんが、今日は一斉委員会という集まりがあるようです。クラスでなんらかの委員会に所属することになった生徒が集められるようです。県くんも私も現時点ではなんの委員会にも入らずにいますが、いずれ必要が出たら役なしの生徒として真っ先に指名されるのかもしれません。

0:00 放課後 廊下

「あ、飯沼先生」「斎藤くん」「先生って、荷物すごいですね。1年の時から思ってたけど」「プロジェクター使いたがりだから、こうなっちゃうんですよね」「へー……職員室までですか?持ちます」「おや、助かるけど、いいの?」「もちろん」「お願いしちゃおうかな」

「飯沼先生」「あ、人見くん」  「お話邪魔してごめんね。君、名前は?」「え?斎藤和佳です。2-2の」「私は…人見 太郎(ひとみたろう)って言います。3-8です」「飯沼先生のクラスですね」「そうですよ。せんせのクラスの人見くんをよろしく」「ごめんね、急に。なんだか、波長が合う気がして」「波長」「見た目で判断しただけだけど」「ふうん?でも、なんとなくわかる気がするな」「先生もそう思います?」「人見くんも斎藤くんも、学生っぽくないからね」「どういうことです?」「2人とも年齢の割に妙に落ち着いてるから。」

「ふふ、どうしよ……連絡先交換してもいい?」「えっ 良いですけど、」「急すぎるよね」「ちょっとびっくりはしましたけど、嬉しいです」人見先輩はにっこり笑ってポケットからスマホを取り出します。私が先生の前でいいのかなとまごつく間もなく、飯沼先生は、あ!と驚いたような声を出しました。「先生の前で堂々と携帯いじっちゃやですよ……先生、急に目にゴミが……」先生がお顔をそらしているうちに流される形で連絡先を交換するのでした。「何も見ませんでした」「ほら、友達増えましたよ」「ほんとだねえ」「あ、私そろそろ行かなきゃ。今日バイトの前に買うものあるから……」「えっと?人見くん、アルバイトしてるんですか?申請出してなくない?」「あ」「そーれは……目にゴミがでは見過ごせないかな。明日、申請書渡すから、書いてきてください」「はぁい」

人見先輩と飯沼先生似てますね」「

20:00