4月17日 6:30

7:20 駅に着く 

駅改札を通るとホームへの階段に石田くんの後姿がありました。駆け寄って声をかけると、おはようございますをくれましたが、少し眠そうな顔をしています。眠そう、というと、うーん、まあ、のような返事をして目元を押さえるのでした。「そういや、面接どうでした」「受かったよ」「良かったです。おめでとう」「ありがと。そういや石田くんってバイトしてる?」「してますよ。港里宮のジョイジャック」「うそ!めっちゃ行くよ。あそこ忙しそうだよね」「暇よりはいいですよ」「今度石田くんがいる時に行っていい?」「いつでもどうぞ」「なんかイメージ通りかも」「ふうん…?」

「そういや遠足楽しみだね」「明日ですね」見つめてくる「なに?」「イベントを素直に楽しみにできる人って感じがいいなって」1そんなふうに思ってる表情に見えなかった…2石田くんは楽しみじゃないの?3一緒に見て周ろうね

1無表情だからか。2え?すげー楽しみです。3はい。是非。

電車

おやつ

8:40 HR

今日も江木先生は、HRが始まるまで前の方の席の女の子達に囲まれています。

「明日は遠足だけど、あんまり浮かれすぎないようにね。前も言ったけどぉ、クマね、クマ。一部見学禁止のエリアがあるから。そこには絶対入らないこと。絶対ね。死にたくなけりゃ。あと、明日は晴れみたいだから。春だけど日焼け止め忘れないようにね」「ゴリ山にとられましたー」「はぁ?」「私もー」クラス中から口々に体育の先生から没収されたらしい文句と、お前もかよというのが聞こえます。県くんが隣で、なんだ、みんなとられてんじゃん。と言ったので、私も、●。と返事をします。「なにそれ……ちなみに他に没収された人ー?」江木先生の呼びかけにクラスの半分くらいでしょうか、手を挙げるのでした。「なんでもっと早く言わないのよ」「わかったわ……、それは私が放課後までに取り返しとくから、帰りのHRで返却します。自分の名前書いてあ……るわけないか。ゴリ、松山先生ちゃんとしてるから多分生徒の名前控えてるでしょ」江木先生が腕時計を見ました「あ、やだぁ。もう時間?」「遠足の伝達とかは帰りにやるわ。次の教室ちょー遠いから、もう出なきゃ」この学校は1学年9クラスある学校なので校舎が大きいのです。

月 1英/2現文🕷/3生物🦑(物理)/4世界史/休

2時間目 現代文

飯沼先生が教室に入ってきた時点で、先生の手荷物を見てテストの返却があるとわかりました。さっきまでなんともない顔でゲームの話をしていた県くんが苦い顔してこちらを見ます。「もうだめ、もうだめだわ」「そんなに?」「帰りたい」「苦手なんだよね国語」「いかに、どれほど、できないか見せる約束だったな……」「え、いいよ、無理に見せなくて」「や、半端にできると思われててる方がやなんだよ」

飯沼先生から今回のテストの全体平均点やクラス平均点などの概要が伝えられたのち、出席番号順にテストが返されていきます。県くんは出席番号1番なので、呼ばれる前から気持ち面で起立しているみたいな落ち着かない姿勢をしています。

「ほら!」「17」と点数の記されたテストを私と隣り合うように見せてくれました

12:50昼休み

「はぁ、気を取り直してメシ食おメシ」「民俗資料館てどんなだろ」スマホで調べて県くんに向けると県くんがゼリー飲料を咥えたまま覗き込んできます。「へーっ。昔の民家がそのまま残ってんのな」資料館のサイトは昔を思い出させるレイアウトではありますが、こまめに更新されていてイベントなどにもそれなりの愛好家が参加しているように見えました。「150年前に建てられた延べ床面積300坪越える民家……民家じゃなくない?つぼ?って何」「土地とかお家の面積の単位だね。1坪が畳2枚分かな」「300坪だぞ?床面積ってなに?家の中の床の面積?」「う…ん多分…?」「じゃあ体育館て何坪?」「それこそ300くらいじゃない…?」「じゃあ民家じゃないだろ……金持ちすぎて体育館にしちゃったの?」「県くんちもお金持ちなんでしょ。氷室くんが言ってた」「でも小遣いないんよ」「え!?」「そんな驚くこと?」「お家によるね。お小遣い事情って」「正司んちは普通にお小遣い貰ってるし。いいなー」

「石田くん流石にクラスの子に一緒にいこって誘われてるかな?」「俺らのが先誘ったし大丈夫だろ。なんか、真っ当に明日楽しみだな。ちゃんと見学する気マンマンになってきた」「私もだよ」

「午後一進路ガイダンスだって。」「そういやそうだった。数学潰れちゃうじゃん」「でも県くんて、数学すら結構寝てない?」「まあ。興味ない話聞いてると気絶するん」

13:30 体育館 進路ガイダンス

人生設計と大学進学に関する講和だ。理系行った人は進路方針決まってる子が多いらしい。2時間にわたるガイダンスの中休みに入り県くんが伸びをしながら話しかけにきた。「県くんて、進路こういうところ目指そうかなーとかも未定なんだよね」「うん」「親からなんか言われてたりする?」「全然。親戚が医者多いから……医学部でも目指せば、みたいなのは時々……言われるけど」「へえー。お医者さんも考えてるの?」「別にだなぁ……」

0:00 SHR

江木先生は付箋が輪ゴムで止められた大量の日焼け止めの入ったカゴを持って教室に入ってきた。生徒がエギちゃーん!と嬉しそうな声を上げる。「やるじゃん江木さん」県くんが頬杖を解いて感心した顔で江木先生を見ている。江木先生は手際良く日焼け止めを生徒に返却していく。「あの手のジジ…おじいちゃん先生、時々こう言う古臭い勘違いしてる人いるからめんどくさいのよね。でもあーいう生徒指導!って感じの体育の先生って学校には絶対必要だし根の腐ったジジイではないから。許してあげて」「間に合ってよかった」「俺ももうさー……妹に日焼け止め返せつって怒られてて」

16:00 放課後

授業終わったー?」「今終わったところ。おそーいね。7限まであるんですよぉ」「17:00に駅で待ち合わせだったらいける?」「いけます。適当に待っててー」

放課後おやつ買いに行く 氷室君と石田君と県君 

氷室君に駄菓子屋連れてってもらう。「ここすごいですね。2階まであるじゃん」「上は業務用だって。段ボールとかで売ってる」「え、後で行きたい」1階は子供でも商品が見やすいようにか低めの棚に大量の駄菓子が陳列されている。

氷室くんがうんちグミしかかってなかった

何その真緑のサイダー。

しらんの?港里港フレッシュソーダ。

レトロでかわいい。

こいつ微炭酸でうまい」「真っ青のもある