「禁じられた遊び」と名のついたものの多いこと。ゲスト由来の言葉遊びですね。
 もうブロキマナクにおいてシュガーのないお店なんて、あまりありません。シュガーというのは鏡からできたおいしいもので、型番に取り込めば酩酊がもたらされます。肉とは違い、あまり摂取するとゲストなら滞在時間が減り、キャストは早く朽ちるでしょう。とにかく早く、競うかのように観光地を楽しみ切ってしまいたいならこれをするのも手です。もし今にも朽ちそうだというのなら、とにかく死なない為にこれに頼るというのも意味がある。ほんの少しだけなら生きながらえるかもしれません。
 終わりそうになっているものの名残惜しさとは格別に気持ちのいいもの。もう終わるとはもう戻ってこれないということ。海の中で死ぬことができるなら、それがいちばんの救いだとでもいうように、海からきたらしいシュガーはキャストにもゲストにも、とにかく石膏の体を持つものには幸福を浴びせかける。だったらシュガーで死ぬのも一種の絶頂です。シュガーは鏡ですから、海にこそかけらがたくさん落ちています。シュガーは海みたいなものなのですから、キャストにとっては当初怖いものだったのですよ。それがなんとゲストの目には、きらきらしていて形もそれぞれでたまらなく可愛らしく映るらしいというので、勇気を出して拾っては街中に持ってきて、嫌がるキャストを横目にゲストにシュガーのかけらを渡したキャストがありました。ゲストはその鏡のかけらをつまんで目を輝かせました。それを見たキャストは、鏡の恐ろしさよりもゲストが楽しそうであることに目を奪われました。あなたたちほど恐怖に強い反応を示す型番なんてここにはないのです。嫌も怖いもこの程度。キャストがニコニコするのならそれが一番というもの。こうしてシュガーはとうとう今ではお店に並ぶようにすらなったのですね。
 ブロキマナクにはこの酩酊物質を禁じたりやめることを推奨するお約束はありませんが、一万堂というエリアには「こども」に過度なシュガーの使用を禁止する「おねがい」があります。酒、タバコやそれに類する一部のシュガーについて、こどもは自由に楽しむことはできません。心配されてしまうから。それをすり抜けるためにジュースみたいにしたお酒シュガーがカクテルと呼ばれています。だからカクテルという文化は一万堂にてこどもにより、初めに行われたのです。内緒でお酒を飲みたいではないですか。お酒を禁止されたから、美味しいシュガーも少ないし、密造シュガーの劣悪な味を誤魔化すために、ソフトドリンクにみせるために、巧妙に可愛く仕立てた液体のシュガーは生まれました。しかし「おねがい」はなくなりません。誰も守ってない「おねがい」は意味がないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。禁じられているからおいしいというものは存外多いもの。禁じられているからおいしいカクテルを、初めてのシュガーとして楽しんでみてはいかが?

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