白い髪だとわかった。
普段夢に音があるか無いかなんて覚えていないけれど、その夢には音がなかった。
僕は何か話していたけれど、声は音にならないから、ただ窓が曇るばかりだった。
僕は窓に張り付いて、部屋に降る雨を外から見ていた。
僕は疎外の更に外へ、
「人のせい」を使って。
「ずっと見ているのは僕です。」
部屋の中には、そう言った僕が座っていて、こちらを見ていて、
窓の外の僕は僕ではなかったのかもしれない。
「いつも見てるんですね」
部屋が暗くなって、僕の姿がなくなったから、僕はその先へ進もうと思って窓に拳を振りかざした。
外には雨は降っていなかったはずなのに、雨が降り出したから振り向くと、白い髪のお人形さんのような見たことの無い人が、僕の上にビニール傘を差し出していた。

160918
230207vr