「暴君は暴君のままで生きていても ほしがりに、ほしいしてもらえるのよ。」
首がなければ、好きだ
暴君の事だけ、認識していそうな…ひとつじゃないものが、
一指も触れずに、暴君のものでありつづける
ずっと
暴君が何も欲していないのは、
全てが手の内にある ということ

「妄想癖は、いってしまわない」

幽霊に力があったなら
幽霊に力があって、
幽霊に首が無かったなら
とり憑いたものの認識のボーダーに
触れずにすり抜けることができるなら
幽霊に顔さえ無かったら
矛先の君へ、最大限の責任を果たせる
体すら無かったら…

暴君が風のように微かであるのに
幽霊の醜さは確固たるものであり
暴君を映す鏡はこの世にないのに
幽霊の醜さは確固たるものである

幽霊は体もいじきたない
神話にベンジンを染み込ませて
汚点中を掻き毟る
「幽霊は美しい物語の中に住みたい」
幽霊、幽霊は好き、と嫌い、を持ってはいけない

暴君はいいな、
暴君もそうおもう
消滅の不安も無ければ、鏡の大音響で死にそうもない

「幽霊であるなら、暴君に犯されればいい」
幽霊の身体に謝る丸い背に、暴君が触れれば幽霊は自殺する
「幽霊の汚点はひとつじゃないのに
思ったより麻痺しないものなのですね」

最大の汚点は暴君を介して訪れる

「性欲程、幽霊と相性の良い衝動は無い。君が馬鹿馬鹿しいから、君がナマモノを嫌いでいてくれるなら、幾らでも。君はもう清らかにはなれないし、汚くも、なれない。生まれ変わってみれば、わかる。生きても、きっと変わらない。僕にげろを産みつけられても、もう汚れることはできない。愛しい者に責任を決行されても、清らかにはなれない。幽霊は、面白い程、他人の汚れに拘らないね。幽霊は面白い程、汚れに弱く脆いのに…。男ですら、無いからですか。この世に処女は尽きないのに。……この馬鹿馬鹿しい暴力が、どうして君のようなのの魂に、死んでも消えない深い傷を残すのか?ありがたいことだから、僕は頭を下げてきた。面白いことだから、もし幽霊と二人きりであっても、永らく遊びたいものです。」