何もかも情けなくなるくらいに思い出せないのですが、目的があって、とても努力して
ここにきたような気がしてそれもすぐにはじけました。いつか始まった今日も朝、無くなった世界の日常は、遺恨をなぞるなぞるなぞるなぞるそれだけです。意思を保つのに必要なものなど何もない。それは意思が眠らない限り途切れないということです。もどかしいだけがオルロレンチをせかしていて、「とてもふあんだ」と口が動きました。知ることから始めましょうか。
まずは目の前の彼から…
かれは
知らないとわかるとそのまま
なにも知らないわたしを殺してしまう
知ってるフリを何周もして
真実に辿り着こう
–
学ぶ内容表
【初対面話】
私の名前はオルロレンチだ
目の前の相手はコイシロだ
漕代は私がくるまでひとりだった
この世界はふたりぼっちだ
漕代は私が何も知らないとわかるとわたしを殺してしまう
記憶が混濁してるみたいといえばある程度ごまかせる
【私の家】
私はサボテンを育てていた
私は二人暮らしをしていた
私には召使いがひとりいた
召使いをここでは傘持ちと呼ぶ
私は召使いと二人暮らしをしていた
私と漕代は仕事で関わっていた
【図書館】
今は滅亡した世界だ
この世界には予定表があり、それを神話台本という
今は神話台本最後のページだ
神話台本は見ることができない
漕代は内容を口伝で知っている
2人は世界の終わりのふたりぼっちだ
世界は観光地だった
私は観光地の季節を変える仕事をしていた
【漕代の家】
漕代はここに恋人と暮らしていた
私とその恋人と面識があったかはわからない
漕代は恋人とうまくいっていなかったかもしれない
【湖】
漕代は泣けない
漕代には親友がいた
漕代には好きな人がいた
漕代の恋人は好きな人ではなかった
漕代は恋人に酷い扱いを受けていた
漕代の恋人はシャールという名前だ
親友はウスルという名前だ
彼らと面識がないと答えると以降は教えてくれない
【漕代の恋人シャールの家】
シャールは日記をつけていた
レクトという人物がいた
シャールは誰かのせいで大きな怪我をした
レクトはシャールを介抱していた人物だ
シャールに怪我をさせたのは餌木かナリエだ
シャールのパートナーは餌木かレクトかウスルかナリエだ
餌木は早くに死んでいる
ナリエはシャールを捨てている
シャールをけがさせたのはナリエだ
ウスルはシャールとシャールのパートナーの間をたもっている
シャールのパートナーはレクトだ
漕代はレクトだ
漕代はシャールに暴行を受けていた
–
【】
レクトはセックスが怖い
【ウスルの部屋】
レクトはウスルの親友だった
レクトはウスルが好きだった
ウスルにはパートナーがいた
レクトはウスルに恋心がバレていたと知っていた
それでもレクトとウスルは親友だった
レクトは友情は恋心より尊いと思っている
【疑問】
私は強い希望と多くの努力の末ここにいる
ここには漕代しかいない
漕代はレクトである
ここにはレクトしかいない
神話台本に最後には特定の人物しか残らないと明記されている
私は神話台本の内容を知りうる身分だ
私はレクトを狙って会いに来たはずだ
オルロレンチとレクトの面識は仕事で少し関係がある程度だ
私はオルロレンチではないか、オルロレンチとレクトは明記されている以上の関係だ
レクトがオルロレンチのことをあまり知らないというのは嘘ではない
–
【思い出す】
オルロレンチはウスルだ
ウスルはレクトが心配だった
ウスルはレクトが今の大事だ
レクトはウスルが今の大事だ
レクトはウスルが今の好きだ
レクトは恋愛感情に友情が邪魔されるのを嫌っている
レクトは一番の親友だ
–
この世界は狭間に過ぎない
完全に消えて無くなる
–
–
きみは…
なぜここに
誰?
…記憶が混濁してるんですね きっと
–
本当に僕のこと知らないんだ」「何も覚えてないんですか?」「本当に僕のことも?」何度も彼はオルロレンチに確認しました。オルロレンチはひよひよした気持ちになって、ごめんねと言いました。しかし目の前の彼は驚いているだけでなく、安らいだ顔に変わっていきます。いえ、と言ってとりつくろいました。
–
歩いてくる
1人のレクト
荒野っぽいところ
誰もいない家に入る
いっぱい入る
あなたが最後の1人ですか。僕の知ってることと違います。
僕抜きで
僕は後片付けの仕事があるので
絶対最後なんです
–
何も覚えていないとは告げない方がいい
そうでないと彼は 何も教えてくれなくなる気がする
–
情報探しターム
対話ターむ
–
–
なかなか終わらないんですね
体の寿命は?
ずっと健康そう
あとどのくらい保つんだろう
–
感情がいっぱいになると頭痛が起こる
知らないんですね
あなたにポーツの知り合いがいないか探してた
元々、二次情報源だったんです。
事実を大体保存して、必要な時にチラ見するんです。胸の中を。
いても彼らと話なんてできなかったかもしれませんね
名簿から交友関係を推察することは、ほとんど癖なんです
やめたほうがいいですね
–
階段海の
シャールさん
会ったことありますか
僕のパートナーになったひと。
僕が知らなかったら
あの人狂った人と みんなが言ったかもしれない
ウスルはね 悲しそうにしてたよ
シャールさんはね
頭の作用はちょっと壊れてしまったけど
元々非常に 整然とした人なんです
朝決まった時間に起きて
コップいっぱいの水を飲んで
瞑想する
朝焼けの匂いを胸いっぱい吸って
自分を大事にする人だった
夜決まった時間に寝る
タバコもほんとは吸わない
あの人は 破滅と整然を選ぶことができる
器の大きい小さいも選ぶことができる
だから 整然とした人であることに変わりはないんです
あんなのになっても
–
あなたは、幻覚かぁ。
とっくに終わってたんだ
なんであなたの幻覚なんだろう
よろしくね
–
私 あなたが好きだった人ですよ
親友だったでしょう
込み入った幻覚ですね
幻覚にさ
あなた幻覚でしょなんて、意地悪かな
僕にはどうでもいいことですけど、
誰にも意地悪はしたくないよ
君には…
どうかな
–
僕は馬鹿だった
でもできる全てをしたつもりです
梯子を掛け違ってたらしい
梯子を登る配分は間違ってなかった
僕は 計画性が あるから
–
幸せです
ひとりぼっちを覚悟してたからさ
急に悲しくなった
唇が震える
失った人生の半分がのっている
ウスルが人生だったから
けど出た言葉は
–
こんなになってまで
ずっとここにいることは
恥ずかしいことだから
君がいて 辛いです
……いてくれてるのに、ごめん
–
なんだ
なんだぁ
君は… 最初から何も覚えてなかったのか
そうですか あーあ
…しなくてよかった人の話 してしまった
とてもたくさん
そう、 最初から…
誰とも比べなくてよかったんですね
君にとってはぼくだけなんですね
僕じゃない人の話なんてしなくてよかったんだ
ふたりきりだったんだ
–
いいじゃないですか
僕は君に これ以上何も教えない
(僕しか何も知らないなら
僕が何を君にしても君はわかんない)
オルロレンチ
–
ウスルとして会いにきたことを思い出す
そんな凝った嘘つくひとだったんですね
意外です 優しいひとだと思ってた
本当なんだよ
……
やめてくださいよ
……そういうこといえるなら
僕が……
いま どんな……
うつむいて黙ってしまった
(ポーツは泣けない派過去に思い出してる)
–
またしてよ……
–
ええ
知らなかったんですか
知らずに俺を招き入れていたと
…世間知らずがすぎるな
俺は
キャストの管理をしていたんです
お客様に直接関わらない役者であることは
あなたと一緒でしたね
みんなのこと見てました
–
あの人とは違う
僕は教えられたことを止められない
自由じゃない
–
これは…
違います
彼のした粗相ではない
見分けられるの?
–
病気なんです
誰かに傷つけられた先輩が僕につけた傷が
膿んだ
みじめでいないと不安です
この病気を一時的なものにできるか
取り込まれて連れて行く羽目になるかは…
きっとここにかかってるな
でも、死ぬ前にリハビリ期間があるのも歪だ
–
君が幻覚であれ…
君は君で
きっと僕が…
君を表すことができれば
君は 持ち越せるでしょう
この峠をこえて 見えない次の階層に出れば…
僕は位を違えて
姿を違えて
信念を違えている
–
じゃあ
全部…
黙って聞いてた間も
名乗らなかったのは…
…
君がオルロレンチだというなら
意識ってどこにあるんですか?
–
君が僕に意地悪するわけないだろ
世界で一番優しくしてくれるよ
–
君はウスルの向こう側にいる
ウスルはどこまで行っても僕の親友のはずです
僕の知らない僕を知ってると考える方が妥当ですよね
隠し事する気が失せました
–
死んでも逃すよ
聞くまでもないだろ
–
君の腕の中で死んだ回数はーー回
数を数えてるわけじゃない
比率が記録されて行くんです
ーよりーがおおい
ーとーとーの比率はこのくらい
それは言える
全部僕は知ってるけど
全部知ってたって何もできない
王様じゃないから
王様は何も知らない
王様だから
何もできないの 知ってるから できることがある 道具だから
でも僕は別に
ウスルが王様じゃなくてもウスルの僕だろうな
伴侶である必要もなければ
友達でいる必要もないのかもしれない
–
きみの…悲しくて声をあげるのを
よしよしって なだめていたころがなつかしいです
君はもう不機嫌になったりしないの?
隠しことが上手になったね
さあ
●●●●
ベストフレンド
40
無理矢理降り立つ
記憶がない
自分の家もわからない
ここがどこかも
キョロキョロする
歩く
桜を見る
毎日かわってる墓の花
誰かがいるかこの世界が誰かなのかもしれない
居心地がいい
坂の上に青い炎をみる
追いかける
追いかけて止める
水が光ったのかもしれない
待っている方が性に合う気がする
一緒に動く黒い細い人影が見える
見つかる
すごい驚かれる
神話台本を一緒に確認しに行く
どちらにも開けない
名乗れないことに気づく
微笑んで待ってることにする
名前は呼ばれるから
面識があるらしいとわかる
なんて呼べばいい?
コイシロさん
相手を知らないと言わないでおくことにした
あなたの家から遠い ほとんど端と言われる
帰りかたがわからない
案内してもらう
間の家でシャワーを浴びる
僕ひとりと思い込んでましたけどあなたがいるなら他にもいるかも
記憶がなかったりしますか?
歩きながら話す
坂
花畑
公園
3日かけて歩いた
あなたの家です
思い出す
サボテンがある
–
司令塔を搭載したはじめてのポーツ
バーソー
改良したポーツレクト
–
傷ついてくれ
嫌だって言ってくれ
哀れみですか?慈悲?
だったら仕方ないか
友達でしたからね
友達やめてくれ
いくらでもひどいことできるから
僕を嫌いになってくれ
僕を恨んでくれ
それだけは忘れないでくれ
二度と会わないでくれ
今もずっと好きです
しょうもない感情ばかり大きくなる
君とただ友達でいたかった
恋愛感情がどこから来るかは知りませんけど
体がなければないんだろうな
そんな気がします
だから
ぐちゃぐちゃ言ってスッキリしたら
それでおしまい
またやり直そう
僕は僕のことも許してる
–
僕は君が忘れるって聞いてそれだけで君を犯した
僕が最低だってことを忘れないで
まあ
忘れても過去は消えないけど
–
生まれなきゃよかった
生まれなければ君に会わずにすんだ
まだいなきゃいけないのかな
海に入っていく
–
いなくなりたいんです
知覚するな
出ていってください
出てって全部忘れてくれ
なるべく遠く逃げて
もう友達やめようって言いました
どれだけ生まれ変わっても僕に関わるな
レクトは笑っていました。泣けないから。
オルロレンチ
君 ウスルとは違うな
別人?
類魂ですか
どっちにしろついてくるんですね
ああ
出て行き方がわからないのか
–
もし君がレクトを知っていたとして
どっちにしろその方向性でも期待に添えません
–
先輩の手からメロン食べさせられたな
懐かしい
懐かしいって それに僕が懐いてるってこと?
それが僕に懐いてるってこと?
–
これは僕の都合のいい夢
君がウスルだとして
オルロレンチがウスルを名乗る形態を選んだのはきっと僕の意識なんでしょう
僕が罪悪感を抱かないように
自分の都合のいいようにオルロレンチを使った
謝らなきゃいけない人ばっかり増やさないでくださいよ
次は誰に顔向けて生きればいいんだ
–
オルロレンチは
るいこんは
本人じゃないんですか?
人格割れたことないからわかりません
オルロレンチには記憶があるんでしょう
それはウスルとどう違う
ウスルになった夢を見たことがある
–
結局優しい
そうですね
僕にはそういう才能はない
どうしても 僕の人生だったから ウスルは
どうしてもいつも
愛おしいから
先輩みたいに
我欲を振りかざすことすらできない
ウスルが大事にしてるものを粗末に扱ってまで彼を引き止められやしません
僕は
ウスルの幸せを願う癖にウスルを幸せにできない
僕の破滅を願って破滅させた先輩はやっぱり偉大でした
最初から僕は先輩を偉大だって言ってた
–
どうして悪いことするの
わからないけど
いいことしてよくできないから
悪いことしたら悪くできる きっと
–
ウスルの部屋に入れてくれるの
好きになった時点で拒めばよかった
適当に難癖つけて嫌ったことにして絶交すればよかった
大好きだったから
なんでこんな下らない感情ずっと残るんだろう
外界でもそうですよ
恋愛感情を神格化しすぎです
–
嫌です
あなたのためにならない
嘘はあなたのために良くない
あなたが
僕のことを知りたい理由がない
あったとしてもそれは
僕のことを知ることが目的ではないでしょう
僕は
もしあなたに
隠し事をされながら
あなたと時間を過ごしたら
その後傷つく
それにはもう耐えられない
いや
案外いけるかな
耐えればいいのか
苦しめばいいのか?
君の望みは?
それをしますよ
哀れでしょう
哀れなのを見聞きしにきたのでは?
落ちたんです
オルロレンチがどの程度以前の僕を知っていたかはわからないけど
オルロレンチは何故ここに来たんですか
どんな気持ちで僕といるんですか
どうせ忘れるんですから
正直にどうぞ
–
僕はみんなを助けたかった
ほらあそこ
僕が飛び回ってた時計塔
あそこにグレブさんの部屋があって
一日中働いてた
仕事したぁっていって
死にたかったんです
毎日楽しかった できなかったことができるようになることや、
粗雑なものが整理されていくのが
僕はあの時計にとったらこれだけの身長しかない
あそこを僕が飛んでるのが見えるみたいに感じます
この世界が大好きなんです
先輩のことも好き まして恨んでなんてない
ウスルを好きになってから
ウスルと接することが辛くなって
先輩はボロボロで帰ってきて
僕をおもちゃにし始めた
僕は世界に貢献できなくなって
ウスルを支えられなくなって
結局先輩の邪魔にもなった
僕の心なんて誰も要らないって先輩は言ってました
餌木さんも言ってた
生き方がわかんなくなって今もわからない
今も世界が大好きですが
今も世界よりウスルが大事です
親友として
オルロレンチがなんであれ、僕にはウスルが特別なんです
あなたには知っておいてほしい
僕は あなたが どういう意図か
ウスルを名乗った時
それを信じましたけど…
オルロレンチが何なのかは整理がつかない
また間違うんでしょう
次はオルロレンチを傷つけて
あーあ ウスル大好きだったな
–
なんでウスルを名乗ったんですか
僕は歪んでる 君を利用して
僕の鬱憤を君で晴らしたし晴らします
それは君がウスルじゃないからです
ウスルならできない
–
先輩ならどうやって僕を傷つけるか
いつでもシミュレーションできるようになってしまった
いつでも 頭の中の僕が 先輩の声を借りて
僕を
とても効果的な方法で非難する
今君と一緒にいることも
誰でも懐く癖に だって
きっと僕は君の邪魔になる
そしたら君が殺してくれれば一番いいのにと
考える思考を今度は非難する
–
オルロレンチはなんで来てくれたんですか
来てくれたんだと思っていいですか
ちゃんと忘れてくれる?
君がウスルの振りをして現れたのだとしても
その知識と優しさには救われました
何のために来たの
能動的に動かないとこうはならないはずですが
帰れないんだとしても
ここでは僕が自分の意思で次に行かないと終われない
–
さよならなのかな
さよならになるの?
僕はもう生まれないで済むんですか
君にもわからないんですよね
次も仕事が山積みであってほしい
人を好きにならないといいな……
なんてね
どうせうまくいかない
巻き込んでごめん
君の記憶が消えるって聞いて
本当に嬉しかった
迷惑かけなかったことになるから
–
託された
お願いされた
それに囚われた
僕に僕の人生が無いから
それどこか
託したいことがあるから僕を生んだんだ
だから僕はいない ずっと 最初から
–
好きなだけでいい
もういい
報われたくない
何もできなくなる
君が後悔で来たのなら
それはもういいし
後は君が満足するまでいればいい
–
何かひとつ望むなら
明日天気になりますように
別に
雨でも晴れでもいいけど
本当は
邪魔でなくなりたかった
この世で一番邪魔な人って
知り合いにいましたか
最大限邪魔な存在になったらどうなるんだろう
結果は変わらない
堕落するだけ無駄
–
君はいるんですよね
ずっと
たまに昔のことを思い出したりしながら
幸せにしてますか
寂しくないか
泣いてないですか
–
ゴミ箱になる
–
なんでそんなに働くの
わかりません
ポーツだからかもしれない
違うかもしれない
とにかく働きたいんです
(何も考えたくない 何かに直面したくないのかもしれない)
–
ベストフレンド
レクトはこの余白の中では、放心したみたいに何しないでいることがあります。オルロレンチに備わっているレクトの印象と合わなくて、面白くさえあります。何もしないね。言葉を添えると、力のない目線を返します。しかし心配になる顔ではありません。だって一緒に笑えるようになってきたのです。レクトは、オルロレンチをオルロレンチと認識することにし、オルロレンチと呼ぶようになりました。暁光でした。レクトはオルロレンチを柔らかいと言いました。聞き飽きましたか?言ったことないのに。言わない方がいいかもしれない。レクトはオルロレンチの唇を、自身の乾いた唇で以って引っ張りました。レクトは自傷的にすら笑わないので基本的には笑いません。あまり目を逸らしません。ありし日の素直な心をしています。
レクトもオルロレンチもありし日のお互いを覚えています。思い出す。やっぱりダメだ。オルロレンチ。君の心がわからないから。よくなれない。何をすればいいですか。僕はどこが傷んでるんだろう。いつから。悲しくない。「なすべきをなす」など言えば進めるはずですけど。友達に会いたい。一番の友達に。ウスルに会いたい。今はまだ早い。急ぎ過ぎた。オルロレンチはウスルじゃない。ウスルに会いたい。オルロレンチは僕が欲しいんじゃない。そのくらい、わかります。僕が欲しいんだとしたら僕も欲しいんだろう。区別の意味さえなければ混ぜといてもいいなんて君考えてないだろう。よく片付けをするから。何しに来たんです。どうしてこんなに惨めな気持ちになる。僕まだ原始的だ。初歩の初歩。
–
我慢しなければよかった
大人になってから泣いても人の心を無理に抉りすぎるだけです
だからオルロレンチは迎えに帰ったのです
大人になる前まで
–
そういえばちぎった薬指、イグイグにでも食わせたのだったか、よく覚えていません。今どこにある?
–
犯されてたので 時間かけて
自信みたいなものがなくなってましたけど
時間かければどうにかなるものですね
発情くらいはするんだな
棒でも穴でも発情するってことか
……長い時間かけてこうなったんですよ
君もそうじゃないの
–
無理です
感覚に僕の全部預けるのは
想像もつきません
そういう演技なら かろうじて
–
汚いものじゃないですか
誰のとか関係なく
みんな普通に口つけようとするのおかしくないですか
–
かわいそうだからここにきたんですか?
いいんじゃない
一人が見てればいいんです
誰も見ていない扉の隣も
音が聞こえれば一緒
だから
僕だけいるのと
誰もいないのは
大きく違う
僕がひとりぼっちでいると
僕の価値は1人の価値を超える
市場価値
–
ポーツが何か知らないんですか
体の入れ物をカスタマイズできるようになったのは
グレブさんの代です
そしたら
役割を背負った体を生むのは自然なことです
–
あなたはかわいそうな人のそばにいるだけ
そういうのも人を助けますね 割と
僕は一緒に怒ってほしいわけじゃない
みんな大好きですし大事です
唾吐きかけたい理由があったんでしょう
–
指
なんで
なんであるのか不思議そう
内緒ねと言って指輪をはめる
目、め
目はない
ベストフレンド
●オルロレンチに会う
–
自分を誇りになんて思えない
誇り高い紳士にはなれません
大事に思ってくれてる人は
私を大事にするために
嘘を吐いた 私のために
その人に その人の大事なものを傷つけて
私はそれもわからないまま 幸せにしてたから
そんなことさせるくらい 弱かったから
いつも
ずっと
誰でいても
グレブさん ごめん
悪だろうが善だろうが誇り高い紳士でさえいれば
あなたは喜んだってわかるのに
誇りはどうしても持てない
覚えてる
あなたにもらったカーネーションも覚えてる
それでも自分に誇りは持てない
弱いせいで 大事な人に大事な人の大事なものを
踏ませたから
–
世界のこと好きだな
最悪な目にもあったけど
世界は好き
自分を誇りには思えないけど
世界を誇りに思います
友達とか 上司も みんな好きだ
だから
だから
自分が一番嫌いです
本当の気持ちや 馬鹿馬鹿しい衝動が
大事な人の邪魔をする
–
もう
たとえいかなる苦行を代行できても
たとえいかなるサービスをも施すことができる手腕を手に入れても
誰の言葉を聞いても
何を救っても
愛しても
誰かの役に立つことはできない
大事な人と 大事な人の大事なものを守り一緒に尊重しながら
満足したかった
適した形になって重宝されるのでもいい
邪悪になるのはいい
邪魔になりたくなかった
そうでなければ存在したくなかった
–
もう
もう世界の終わりの方ですから
もう誰も傷つけないで済む
心から安堵している
嘘じゃない
もう誰にも迷惑かけずに済む
もう生きていなくていい
もう生まれないでいい
御破産を繰り返す必要もない
もう引き算しなくて済む
もう階層の終わりだから
輪廻に叩き起こされることもない
二度と
生まれないで済む
後はもう
階層が閉じて終わる
この階層で終わりであってくれ
どうか
–
会いたくない
会いたくないんです
大事な人だから
–
いいんですと答えた
別に 怒ってない
怒ってるはずない
大したことじゃない
恋くらい誰にでも起こるだろ
バラされたって痛くないし
そんなことで友達じゃなくなるなんて思ってない
先輩のことは
君くらい大事だ
君の方が大事だけど、
先輩だって特別です
友達でいてくれてありがとうって2人に思ってる
いい人生でした
何もしてやれなかった気がします
もうちょっとふたりには
何かしたかった
鑑賞者がいればこう答えただろう
鑑賞者がいなければ
もう二度と誰の役にも立てないと繰り返しただろう
から
私が そうなるように 生きた馬鹿だから
どうして
消えたらダメなのかな
グレブさんは
僕を可能性だって言った
だから最後まで残るんでしょう
チャンスをくれたんでしょう
そのチャンスも無駄にした
人を率いるには前向きでなきゃいけなかったから
人と寝るには合わせなきゃいけないのと一緒で
仕事だから
前向きでいただけ
–
僕がいなくなったら
ブロキマナクは終わる
–
僕がどこまで行けば満足ですか
それを知る為に今があるんです
オルロレンチのいる時といない時を交互に繰り返す?
–
–
どうしてそこまで俺を
どうしてって言われても
僕が僕だからとしか
君が君だから毎日目覚めるのと一緒かと
だめですよ
君は僕のためにしてるんだから
優しいです
ウスルじゃないものは怖くありません
拒否
–
本当の未来を生成のは書かれた運命ではなく
ノイズ ブレ
本質的には神話台本の運命ってお皿にブレでできた本質が盛り付けられるんです
僕にある全てのノイズがウスルに集中しているのがありありわかる
こういうのってどんな未来を作るんだ
予測しうる範囲で望まない結果を生むと分かる場合
止める努力をする価値はあるのか
それは止められるのか
相談する相手は選ばないと
管理できなくなる
–
いよいよウスルじゃねえなって思っても拒否できなくなった
なんで僕の中に生まれたんだろう
こういう余白がないように設計したって言ってなかったか
僕が余白を広げてるのか
僕がたちかえるべき原則ってなんだ
–