セリを見てこれはセリだと言い当てられるゲストは少ないですし、キャストであっても完全に言い当てられるわけではありません。それは、セリが大抵セリ以外の型番に酷似している、もしくはちぐはぐな特徴をもち到底の型番の体を成していない場合がほとんどだからです。セリを用いる彼らのことを受け入れがたいなんて印象を抱くものは少なくありません。それは以前の彼らが並から大きく逸脱した、異形の様相をしていることがほとんどだったからです。セリを生み出す職人の趣味はとても変わっているのです。当時のセリがどうしてもドロドロにょろにょろしていたものですから、彼らに違和感を強く表しすぎてしまうザグリーが少なくなかったのですね。いつかのとあるシーズンからテコ入れが入り、従来の平均値から過剰に逸脱したと判定されたフォームを他種を踏襲するかたちで改善し、今の彼らがあります。「みんなのふりをしてあげている」それはセリの本質のひとつです。差別されていた歴史があるからではありませんが(これはオブラートに包んだ表現であり真実ではありません)、現在も決して特にプレミアムな印象を与える型番だ、とは言えません。セリには他の型番に擬態する文化と機能が今も一部取り残されています。その文化と機能も、かつて他の型番の使用者の内、異物を排除するのが得意なザグリーを持つものを刺激したのかもしれません。セリという呼び名がつく前に、彼らをニセモノ、もしくはまねっこと呼んだことがあるなら、次にブロキマナクに赴く際には、セリと呼ぶことにしましょう。セリは短命な上に脆く、少しの衝撃でザクリーが型番を離れますが、セリのストックは大変潤沢ですから、セリなら誰しもが短期間で生き返ることができるはずです。最もリーズナブルな型番ですから、彼らの多くは自然と朽ちるまでのシーズン数の半分以下で自らの型番を新調してしまいます。それ故、キャストの肉を食べるなら、彼らの肉が最も入手しやすく、なんとありがたいことに、味もまあまあ、いやかなり、いいのです。食材としての見た目も今日では配慮されています。彼らには彼らにしかない感覚器官が多く存在し、セリにしか感知できない音域や色域が存在します。あなたが、たった一言書かれたメモを受け取ったとしましょう。一見シンプルに見えるそのメモがセリ宛の情報に溢れているということもあり得るのです。

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