エルセンの体は細く、軽く、曲線的で、時に光を発して見えるほどの乳白色です。大抵翼を持ちますが、必ずではありません。翼を持つ持たざるに関わらず、彼らはみんな、空を泳ぐことができます。ブロキマナクの次シーズンのアミューズメントが空の上に建造されていることはご存じでしょうか。それはこの度の次の階層についてのみではなく、ブロキマナクというもの自体が、次の階層を空の上に準備するという意味です。貴殿でいうところの来世のことというとイメージが近いのでしょうか。巨人も超えて上空の雲の上で次の階層の準備をするのに足る程に滞空できる機構というのは、よっぽど特別にそれ以外の機能を排したポーツを除けば、エルセンしかあり得ません。ですから雲の上はすなわちエルセンだけの仕事場です。それすなわち、すべてのブロキマナクのキャストについて次の階層に舞台を持てるかどうかはエルセンの仕事ぶりにかかっているというわけです。エルセンが「来期に」「次の」「未来が」といった話をするたびに、ほかの型番を持つものは首をかしげるでしょう。「エルセンは未来ばかりを見ている」という一種の悪態があるのは、彼らにしか空の上すなわち未来の建造ができず、彼らが空の上すなわち未来に缶詰にされてしまう実情があるからです。エルセンは地上の建造物の増築をも担います。エルセンは常に強く数が求められる価値あるエリートです。エルセンに適するザグリーは少数です。いつもブロキマナクはエルセン不足に悩まされています。彼らは空の上のことで手一杯でなかなか降りてくることができません。それが地上のゲストやキャストがエルセンに出会うことの少ない理由です。雲の上では人手をよこせとプラッツに充てて憤っているエルセンが今日もいるに違いありませんね。彼らは大抵生き急いでいて、それは高圧的ともとれるほどでしょう。急進的で、勝負事が好きな個体も多く、その気質が一部のザグリーの住処を奪った事例もあります。しかし彼らの「未来」への勢いが、ブロキマナクを支えているのは紛れもない事実です。また、たまに地上で宴会をしているエルセンの集団がいたら、積極的に混ざるといいでしょう。地上で宴会する彼らほど、気前のいいキャストもありませんから。