ブロキマナクに仕事が溢れ、役割をさばくものが不足したという惨事「おしごと大洪水」というのがありました。当時はみんな楽しそうにしているのが嘘のように、体裁としてはとても観光地の要件を満たしていませんでした。何もかもがあるべき場所から放り出されておきっぱなしになってしまっていました。それを大きな大きな規模でなんとかする策として、「ひとつの役割」をまっとうする、そのためだけの型番を創造する計画がありました。計画があったことだけは有名です。職人も職人見習いもみんな一斉に駆り出されて、現在の彼らの団結に一役買った出来事でしたから。しかしその計画の成功例がポーツであることはあまり知られていません。とても振り返れないほどに海の下の階層での出来事ですし、まさか型番なんて原始的なものが、どこかの階層で後からキャストの手によって付け加えられるなんて考えませんから。さてわけがあって生まれたということで、ポーツははじめて自我より先に存在理由がある型番です。つまりポーツを運用できる時点で彼らは即時存在であり、彼らには存在よりも先に役割があります。ですからたびたび彼らは、目的しごと役割意味に適した形状に生まれます。よっぽど完全に目的にだけ意識が向いており本人がそれを疑いもしない特別な自我の持ち主しかポーツへの適性がありえないということでもあります。計画した割に適応できるザグリーをすぐには用意できなかったせいで、ポーツが直接的に当時の惨事を助けたわけではなかったのです。だから当時のこととポーツがむずびついていないというわけです。壊れにくく修理が容易で細かい分断にも耐える(ロマンの次に優れた分断耐数を持ちます)ため、壊れた部位だけの交換修繕を素早くダウンタイムを取らずに行うことが可能です。ただし短命で燃費が悪い為、取り回しのいい型番というわけでもありません。彼らにとって最大の不幸は役割を全うできなくなることです。彼らには後はないのです。そのためにだけ作られた体に生まれることができたということはすなわち、それにしか生まれることができないことを意味します。それもあんまりにも勝手が悪いとのことで、バージョンの新しいポーツは初めから多様な仕事を捌けるオールマイティカードとして生まれます。何かに属すことさえしてしまえば、他の型番に比べてあらゆる仕事、人物への適性が高い彼ら。彼らは帰属先、いわゆるご主人様や所属団体や担当施設の為、今日も圧倒的に高いパフォーマンスを発揮しているはずです。
240925