ウスルは型番の体液の汚染を受けたさまざまな道具を廃棄する為に、そこでない場所に避けました。レクトは汚染された床を拭いていました。つるつるしているけれど、細かい傷のついているかたい床です。ウスルが廃棄するものを持って外へ出て、いくらかの作業をして戻ってきても、レクトは同じ印象のままに手を動かしていました。ウスルの今回の仕事で散った血が、次回の仕事の悪さをしないように集中していました。ウスルは綺麗さを、整頓と言う意味ではなく清潔という意味で綺麗さを取り戻していく部屋を眺めました。汚れては綺麗になり、綺麗になっては汚れる部屋を、特別な情を込めて眺めました。ウスルの部屋は役目を何度も遂行して、すっかりウスルの悪のようなものを司っていました。ウスルはこの部屋に入ると、ある程度の悪が許される心地がします。ウスルがこの部屋にしたおまじないのおかげでしょうか?ここで我欲に寄り添うことができているので、お外で我欲と付き合わないことにしています。ウスルは、この家屋を譲り受け、この部屋を解体や解剖を伴う仕事に使おうと決めたその時に、部屋におまじないをしました。「私を悪の侵食から守ってください」のような「私を善の侵食から守ってください」のような曖昧なおまじないです。あと、謝ること願うことそういうものを簡略化して、部屋に入る動作に組み込みました。それは例えるならば、どこかの文化の神さまが、果ては名前を無くし信仰も無くし、日常の小さな決まりごと程度にまで薄れても、人々の日常風景にひっそりしっとりこびりつき0にはならないような、そういう類の儀礼です。レクトは体液掃除用の薬剤をまた床に足しました。とれない汚れがあるのでしょう。ウスルはそれで終わりでいいよと言いました。あとは自分でやるからです。

230220VR