少年を見つけました。奇妙なことがありました。少年だけを見つけたのに、発見は少年にまつわることのみにとどまりませんでした。少年と、死ななければならないとも、生きなければならないとも、納得しました。いつも恐れていました。忘れている何か、それを思い出し、今日までの人生で私が積み上げてきたものを、明日の私が放擲することを。いつも恐れていた、事の運びは、成就しました。奇しくも少年の関係ないところから。少年は柔和な色を纏っていて、それが彼には居心地が悪いようでした。この世に身だか心だかを及ばせるために、衣を借りているからでしょう。少年はこの世のものではないのです。私がロマンチストでなかったとしても。名簿を遡れば、その少年の名はありました。私はロマンチストでもありました。見つめる先の少年は、私で台無しになる。「私が台無しであれば……。」知っていました。はねのける程には拒絶すべき、汚れの正体を。食い入るよう見つめると、対象に食い入るものが、一般には何と呼ばれると、都合がいいのか。知っていました。生まれなければよかった、と言いそうでした。初めてのはずのそのセリフを、人生と同じ時間をかけて、入念に繰り返してきたことを思い出しました。