シャールに、お風呂をやることにしました。シャールが、ひとりで入りたくない、ふたりでも入りたくないというので、なんとか3人で風呂場に居座ることになりました。ウスルは仕方なく浴槽に収まっていて、シャールがレクトの手で洗われているのを見ました。シャールは饒舌でした。上手ですねとか、お風呂が好きなんだよとか、言いました。レクトは珍しく抑揚のある返事をしました。ウスルはそれが聞き慣れなくて心のどこかが縮んだまま、恐る恐る聞いていました。レクトは、シャールが痛ましくて眉を曲げそうになるのをこらえるみたいな顔をしました。シャールはじっとおとなしく目をつぶっていて、頭を洗われている間に二度、声を上げて泣きました。髪を流し切ったという時、シャールは顔を上に向けました。手を持ち上げました。存外素早く。一瞬は、何かの儀式みたいに見えました。シャールはシャールの髪を洗っていた姿勢の名残のまま俯くレクトの顔を下から両手で引っ掴んで、唇を天地逆に合わせました。そうしてからすぐお口を少し離して、「うする」と言い、ウスルを見て、もう一度レクトを捕まえ直して、「逃げるな」シャールは器用に言いました。レクトは浴槽のへりか壁かに手をつきました。引っ掻いているみたいにも見えます。レクトの髪の陰からシャールのギラギラしてひどい目が光りました。ウスルに向けて。じゅる、と音がしました。レクトの方が吸っているから。シャールは顔を傾けました。深くねじ込むために。レクトは震えました。眉間にシワを寄せて。シャールは片手でレクトの頭を引き寄せて、片手を自由にしたと思うと、ひっくり返ったみたいな姿勢のまま、器用にウスルの上腕を掴んで爪をぐりぐり立てました。ウスルを見ていました。ウスルが我に返ってえっ、と言って、再び呆気に取られている間にレクトは顔を離して、目が眩んだみたいに頭を押さえて、フラついて、ゆっくり、膝をつきました。大きく息をつきました。シャールは笑いながら腰を労って「ああ」と言い、変な姿勢をやめました。「キくでしょう」悪いシュガーみたいに。シャールは立ちあがって、座りかけているレクトの頬を両手で包んで、今度は正位置で引き寄せました。レクトは爛々した目をシャールに向けて、その後一瞬ウスルを見て、その僅かな間でシャールの両手の親指を口の端に突っ込まれるようにこじ開けられて、「うー」開口具をつけたみたいな息をしました。ウスルはレクトの性器が尋常じゃなく血を集めて筋ばっているのを見ました。シャールは親指の開口具をそのままに顔を少し離して、レクトの開いた口に少し高いところから器用に唾液を与えました。レクトの喉がごく、と鳴って、レクトは大人しくしています。目つきだけが不自然に爛々とキラキラとしています。ウスルもおとなしく、シャールは以外はおとなしくしていました。シャールが帰ってきた日だから?シャールの変質をはかりながら。レクトは風呂場の床にすっかり座り込みました。脚を折りたたんでいます。シャールは笑っています。目も口も笑っていないけど声をあげて。レクトは頭に手を添えています。目がまだ爛々とキラキラとしています。ウスルはシャールに落ち着くように声をかけましたがシャールはウスルを睨みました。そんな目をウスルに見せたくないからみたいに、レクトは無力な腕をどこへでもなく伸ばしました。「こんなふうにやったことないから。こいつはずっと、極めて間接的なジュースを飲んでた。ちゅーぐらいでこんなになるくせに、おいしい僕ともだいすきなウスルとも、絶対にしなかったのはどうして。楽しめましたよ、きっと。旅行で、手解きしてやればよかった。ウスルが僕にしたみたいに。キミがマグロだって勘違いしてたから……僕らは、君を、仲間外れにして楽しんでたんですよ」ね?ウスルはシャールに何か言おうとしましたがレクトはウスルを止めます。俯いたまま、「先輩、大変だから」レクトが言います。「先輩、大変だから?」シャールはそのセリフを真似てから、レクトの髪を引っ掴みました。口淫の姿勢に引き寄せました。いくらか柔らかいピンクの先っぽを、もっと柔らかい唇にくっつけます。レクトはその時点でもう口を開けて迎えていました。ただの穴となった口にスムーズに、シャールの性器が差し込まれます。それはゆっくりでしたが一瞬で、全員が初めから全部を知っていたみたいに完全でした。どこにも拒否反応がない、存外静かな空間でした。

211115