コールドのいない舞台のなんと寂しいこと。コールドという分類のキャストがあります。ソリストより崩れていて、マクナスビャンよりは整った彼等。コールドに顔はありませんし、指すらないかもしれませんが、その衣装はもちろん豪華です。
 舞台を、催しを、シーズンを、主要なキャストを、式典を、イベントを、建築を、エリアを、最も広域に賑やかすのはいつも彼等ではありませんか。なぜなら彼等はなんといっても数が多い。そして従順で訓練が行き届いている。傘持ちを持つならコールド型が一番いいとはよく言ったものです。
 あなたが石像だと思って通り過ぎたそれはおそらくコールドです。あなたが植木だと思って通り過ぎたそれはおそらくコールドです。あなたが自販機だと思って通り過ぎたそれはおそらくコールドです。
 コールドは画一的です。洗練された動きを一斉に行うことができる唯一の存在。これを操るということも、オルロレンチの季節回しには欠かせないお仕事なのです。

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