ディラーラなんてなかなか見られるものではありませんよ。みんなディラーラを恐れ、憧れます。「おごそか」「立派」「力強くて動じない」。我らがディラーラこそ、ブロキマナクを支える柱、最も重要な観光資源であり、その型番は彼らの特別なザグリーを守り、よりきらびやかに仕立てるひとつの小さく圧縮された特別な舞台と言っていいでしょう。プリンシパルへの登用が最も多く、一部の有力なソリストなど、ブロキマナクの顔と言えるキャストこそ、ディラーラの使用に耐えます。そしてディラーラを選択できるなら、ディラーラにしておくべきです。豪奢な角に器用で多彩な尻尾はもちろん、恵まれた体格あるいは美しさに、あるいはしなやかさ、あるいは自信、つい目で追ってしまう力を持つ彼らの型番ですが、その丁寧な造形には大変な手間暇が必要です。彼らは寿命を迎えても、そう易々と次の体を手に入れられるわけではありません。そのはずですが、ディラーラを拒絶反応なく運用できるほどのキャストは例外なく高い質と有力な役を得て社会的地位に恵まれていますから、結果的に次の型番の調達には困りません。まるでブロキマナクが彼らのためにある機構だというみたいです。高価な体のストックを、キャストが個人的にたくさん抱えていることも少なくありません。ガレージに並んだ高級な型番ストックを公開しているキャストもいます。しかし、彼らは希少であり、平均から大きく逸脱した大きさや小ささを持っていることが多いため、ノーキスなんかに合わせられたドアを不便なく通るような権利にはありつけていなかったりします。これは大衆こそが一番見えづらくて大きな権利を持っているのだ、ということを表しているのかもしれませんね。

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