ゲストは死んだら箱に入ることがあるそうですね。キャストは生まれる前に箱にあって、生まれる時に箱から出でるのです。せっかくですからこの度は箱の話をしましょう。
ブロキマナクのキャストが初めての型番を初めて捨てて、初めて型番の交換というものをしたとしましょう。その記念すべき時を覚えているキャストもいればそうでないキャストもいるでしょう。初めての交換とは簡単だったのでしょうか?生き返った心地がしたのでしょうか?何にしろ、型番を乗り換えて直ぐというのは不自由がつきもの。何もかもの初めの、指ひとつ動かす事すらできないもどかしさをもう一度味わうわけですから。末端まで体が硬直していて、まともに歩けるようになるまで少なくとも日が昇り落ちるまでの間がかかるものです。やっと、気が遠くなるほどの緩慢さで箱のへりにすがって身体を起こし、まだまだ気が遠くなるほどの緩慢さで支えにすがってなら歩けるとなって、徐々に自由を取り戻すというわけです。自由を楽しむ初めのアクションとして、エルセンは翼を広げて、セリは微震を広げて、ポンチは毛を逆立てて、ロマンは重力を広げて、ヘマルココは鱗の隙間を広げて、生きていて一番痺れる伸びをします。これがなんとも気持ちのいいこと。清々しい表情からはこの型番で全てをもう一度始めようという気持ちになっていると見受けられます。
ブロキマナクで型番というものはとても高価ですが、手に入らないわけではもちろんありません。一万堂のゲームセンターの一番上等な景品はなんといっても大変高級な型番なのですから。型番は何においても必要であり、物品としても特別です。如何なる価値観のコミュニティの中でも一等大事にされているものです。だからほとんど例外なく上等な箱に入って納品されます。箱は型番を保護する為にこれまた上等な布であつらえられた専用のクッションが敷き詰められていたり、大事であることと再び歓迎を表す為に豪華な外装をしています。型番が起動してしまえば用済みです。キャストは箱から生まれたら箱には戻らないのです。工房が回収してしまいますしね。ゲストが浴槽から出でたら浴槽に帰ってきてそこで眠ったりしないのと同じ事です。
型番は最後、肉になるか海に入るかですが、お医者の先生に引き取られた型番だけは箱に戻ることになります。それはその時にしか使われない箱です。箱が箱の箱に整理されていて、箱の箱が壁の中にあります。そこに型番がある事を安置と言います。お医者さんが使われた型番を調べてくださるから、みなさんが使う新しい型番は、常にもっといいものになり変わっていくのですね。
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