4/6木曜日 7:00
窓の外の眩しさを頼りにゆっくりと目を開けて、しばらくしっかりまどろんでから、伸びをします。
明日からはいよいよ学校が始まるので、今日よりもう1時間ほど早く起きなきくてはならなりません。
億劫なような、わくわくするような気持ちになりながら、今日の支度を始めます。まずは洗面台です。
今日は大きいショッピングモールに行って、なんとなくぶらぶらでもしながら新しいノートやファイルを買い揃える予定です。
朝食を済ませ、コーヒーを飲んで、大体のバスの時間に検討をつけ、さっさと家を出てしまうべきです。いつも、ついついゆったりしすぎてしまいますから。
三堂駅前のバスターミナルから、ショッピングモール「ポラモール」行の送迎バスが出ています。ポラモールなら大抵のものは揃いますし、ゲームセンターやガチャガチャやホビー関連が充実しているのもあり、遊ぶ場としてもよく候補にあがります。
平日の午前中ながら家族連れが多いのは、学校がまだ始まっていないところが多いからかもしれません。
「あれ?」
専門店の並ぶまっすぐな道の先に、見覚えのある横顔が見つかりました。1年生の頃、古典の授業でお世話になった飯沼先生です。ゆったりとした話し方する物腰の柔らかい先生なので、体育の後などはよく寝そうになったものです。
「飯沼先生ー!」
手を振りながら近付きます。
「あ、●くん」
先生は食料品の入った重そうな袋を持っていて、学校の廊下などで見るときよりもいくらか俗世の人らしく見えました。それでも、俗世の人の中にいると他に比べて文化人らしく見えます。
「こんにちは。お一人?お買い物ですか?」
「ノート買いに来ました」
「明日から新学期だもんねぇ」
飯沼先生からは現代文の宿題が出ています。
1年最後の現代文の授業で、2年生では理系クラスの現代文を飯沼先生が担当することになると言っていました。今年も先生にはお世話になるということです。
「宿題できました?」
やっぱりその話題になるかと身構えていた話題です。もう春休み最後の日ですから。
1もちろん
2手付かずですけど、あのくらい今日中に終わらせます
3出せないかも…
1素晴らしい。
1-1真っ先にやりました。
1-2昨日終わりました。
1-1早めに終わらせるタイプ?えらーい。
1-2出来立てほやほやだ。テスト対策にはいいかもね。
2ほう。あの日がんばって片付けたんだろうな……と思って採点しますね
3「ええ~?先生と今日会っちゃったし、ご縁じゃん。」
「う〜ん」
「1ページだけでも見たいな。」
「気が向いたら……」
–
「ところで先生は、何を買いに来たんですか?」
「んー、食料品。今日は、お肉と鰹節とマヨネーズが安い日ですからね」
「今日の晩ご飯は?」
「えー?お肉。牛肉買い込んだから……煮たやつがいいな。肉豆腐かな……」
先生は、くすくすと笑いながら荷物をもう一方の手に持ち直しました。
「とりあえず斎藤くんが元気そうで安心しました。まださむいし、体調に気をつけてね」
「はい。先生も」
「ありがとう。あっ、2年生になって最初の月曜、すぐ考査ですから、楽しみにしててね」
「げ。出題範囲って……」
「現文は宿題から。と古典と漢文は1年生の復習だって担当の先生がおっしゃってましたよ」
1自信あります
2ゲーッ 広い…
1いいぞ!
2がんばって!
じゃあ、また明日、始業式でね。
飯沼先生と別れると、その足で文具売り場に向かいました。ノートとファイルを新調し、ついでに消耗品も揃えます。今からの予定はありませんが、せっかく安いと聞いたのだし、食料品売り場に向かうのもいいかもしれません。
20:00 自宅
明日から新学期です。明日に備えて夕食と風呂を早めに済ませ、ゆっくりリラックスすることにしました。それでもどこか緊張するのを暖かいお茶で誤魔化しながらのんびりしていたら、氷室くんから連絡が入りました。
「明日からですね学校」
「7:20の電車で一緒に行こうよ」
「うん。ちょうどいい」
「もう2年生ですね」
「遅刻しないようにしなきゃ」
「ちょっと早いけどもう寝ます」
「おやすみ」
明日からいよいよだと思うとどうしてもそわそわするので夜更かししようかとも思いましたが、よく寝れるお茶を飲んでいたらちょうど眠れそうな気がしてきました。
明日の準備もできましたから、早めに布団に入るほうがよさそうです。